資産運用とは、「自分の持っているお金(資産)を投資や預貯金へ回し(運用)、効率良く増やすこと」を指します。
一般的な株式投資やFX以外でも、銀行にお金を預けて金利を得る行為も立派な資産運用の1つです。
資産運用(投資先)の種類を解説(※ピックアップした投資対象については参考URLを大いに参考にしています)
名称 | 特徴 | 必要資金(目安) | リスク/リターン | 運用期間 |
投資信託 | 投資家から集めた資金をまとめ、株式や債券を専門家が運用する。 | 100円以上 | 中 | 中期~長期 |
株式 | 株式会社へ投資する方法で、値上がりによる利益の他、株主優待や配当を得られる。 | 数百円以上 | 大 | 短期~長期 |
ETF | 日本語にすると「上場投資信託」。 | 1万円以上 | 中 | 短期~長期 |
REIT | 間接的に不動産投資が可能で、インフレ対策になる。 | 10万円以上 | 中 | 中期~長期 |
債券 | 国や各企業が発行する債券を購入する運用方法で、リスクの少なさから安定性は高い。 | 1万円以上 | 小 | 長期 |
FX | 外国為替証拠金取引のことで、日本円を含む各国の通貨の売買が可能。 | 100円以上 | 大 | 短期~長期 |
仮想通貨 | BitcoinやEthereumなどの仮想通貨の売買によって利益を得る。 | 100円以上 | 大 | 短期~長期 |
不動産 | アパートやマンション、商業施設に投資し、主に賃料によって収益を得る。 | 数十万円以上 | 中 | 中期~長期 |
クラウドファンディング | 各種企業に間接的に投資を行う方法で、利回りや回収期間が決まっている。 | 企業によって異なる | 中 | 中期 |
保険 | くまで備えとしての投資で、文字通り「保険」として将来の備えの側面が強い。 | 数千~数万円 | 小 | 小期~ 長期 |
投資を行ったことがない、資産運用の初心者にとって最初につまづいてしまうポイントが「自分に合った投資先が分からない」ことです。
大切な資産を運用するので、間違った投資先を選択して損失を出すのは誰しも避けたいところです。
投資初心者が資産運用を行う場合、以下の3点を心がけることが重要です。
これから投資を始める初心者がまず注目したいのが、投資先の商品が少額から始められるかどうかです。
理由としては、投資に慣れない初期の段階で、大きな金額を運用したとしても、損失が発生した場合、冷静な判断ができず、大きな痛手を負ってしまう可能性が高いためです。
具体的には、100円投資して50円の損失が出たとしても、多くの人は許容できるでしょうし、こういう場合はこれくらいの損失になるのかと勉強になります。
一方で、仮に最初から100万円の運用を行った場合、上記のように元金の50%の損失を出したとすると、50万円もの大金を失うことになりますし、50%といかなくとも10万円程度の損失が出た段階で焦って決済してしまうことも考えられます。
したがって、投資初心者はまずは少額で取引を開始して、徐々に経験を積んでいくのがセオリーと言えるでしょう。
投資全般に当てはまることとして、資産の運用は短期より長期の方が損失リスクが小さくなる傾向にあります。
なぜなら、投資の経験を積んだプロトレーダーであっても、短期の値動きを完璧に予想し、勝ち続けるのは困難なためです。
FXのデイトレーダーで大きな負債を抱えてしまった人の話をニュースなどで耳にする機会があると思いますが、多くの場合は短期的な大きな値動きで損失を抱えるケースが多いです。
一方で、長期前提の運用であれば、例え1日にある程度の値動きがあったとしても、一喜一憂することなく、例え一時的に損失を抱えることがあっても最終的にプラスになっていれば良いので、冷静でいられます。
したがって、投資の初心者であればあるほど、短期取引ではなく、損失リスクの少ない長期前提の運用を推奨します。
安定した資産運用を目指すなら、投資先の値動きが激しくない(ボラリティが低い)ことが望ましいです。
例を挙げると、1日に激しい値動きをすることの多い各種仮想通貨、特にBitcoinは安定した通貨とは言い難く、逆にダウ平均株価などはそこまで激しい値動きはありません。
値動きの激しい通貨(投資先)は短期的な利益を得る目的であれば選択肢に入ってきますが、長期運用前提とするなら安定性にかけるため、ダウ平均株価のような値動きが激しくない投資先の方が好ましいです。
この項目では、投資をこれから始める初心者向けに「少額から始められる」「100万円以上で運用する」2つのパターンに分けて、おすすめの資産運用方法をランキング形式で紹介します。
なお、ランキングの選定基準は以下の通りです。
● 運用期間
● 値動き(ボラリティ)
● 手数料
● 運用にかかる手間
主に投資初心者を対象に、「少額から始められる」リスクの少ない資産運用方法を紹介します。
1つみたてNISAを活用した長期積立投資
投資をするのが初めてだったり、大きな金額を投資に回すことができない人に最もおすすめなのが「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」です。
つみたてNISAは数ある投資の中でも比較的知名度が高く、投資に関心のない方でも名前くらいなら聞いたことがあるでしょう。
つみたてNISAが投資初心者に最もおすすめできる主な理由は以下の通りです。
● 運用益が20年間非課税である
● 積立投資の強みである「ドルコスト平均法」による高値リスク軽減
● 投資対象商品が金融庁に認められており安心感がある
まず、最低100円から投資が可能な点は、高くなりがちな投資のハードルを非常に引き下げており、言葉通り手軽に投資を始められます。
また、つみたてNISAはスポット的な短期投資ではなく、長期間続ける前提の積立投資なので、高値で多く買うリスクを下げられるドルコスト平均法での運用がが魅力です。
総じて、つみたてNISAは投資経験のない初心者にもおすすめの資産運用方法と言えます。
なお、つみたてNISAは後述の「クレカ積み立て」と併用することでよりお得に運用することが可能です。
2iDeCo(イデコ)を活用した長期積立×節税
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年に加えて給付を受けられる私的年金制度のひとつで、公的年金とは異なる点は、加入は任意であることです。
加入から申し込み、毎月の掛け金の設定、運用方法など、全て加入者自身で行い、掛け金および運用益の合計を年金として給付を受ける形になります。
公的年金のみでは生活が厳しくなることが予想される近年において、iDeCoは安心して老後の生活を送るための友好な手段のひとつと言えます。
また、iDeCoの特筆すべき点は、単純な運用益を得る目的以外にも「節税効果」がある点です。
iDeCoでは投資した金額(拠出金)の全てが「所得控除」の対象となるため、「住民税」および「所得税」を安くすることができます。
具体的な数字を出すと、「年収約400万円」「運用年数30年」「掛け金は毎月23,000円」「会社員」の場合、年間約41,600円の節税効果が見込めます。
メリットの多いiDeCoですが、「原則60歳」まで引き出しが行えない点に注意しましょう。
3クレカ積み立て
基本的に株などの金融商品の掛け金をクレジットカードで支払うことはできません。
理由としては、金融商品の全ては元金保証がなく、購入時より値段が変わらない、もしくは下がらない保証は一切ないため、返済できない可能性があるためです。
ただし、「つみたてNISA」などに代表される毎月一定額を購入する積立投資の一部では、クレジットカードによって掛け金を支払い、運用するいわゆる「クレカ積み立て(投資)」が認められています。
クレジットカードによって支払われる掛け金と、現金の預貯金による掛け金の最大の違いはポイントが付与されるかどうかです。
多くのクレジットカードは、毎月の利用額に応じてポイントが付与されたり、現金によるキャッシュバックが行われます。
また、クレジットカードで掛け金を支払う場合、毎月クレジットカード会社に定められた日の引き落としとなるため、銀行から証券会社の口座に都度お金を移す手間がありません。
4単元未満株(ミニ株)で少額積立
株式投資は1単元(100株)での取引が基本なので、株価の高い企業へ投資するには、数十万円以上、場合によっては100万円以上のまとまった資金が必要になります。
例えば、株価2000円の企業があるとして、基本となる1単元で取引を行うには最低でも20万円の資金が必要です。
しかし、証券会社によっては最小取引単位が100株ではなく、1株から取引が可能な場合があります。
このように、1株や10株など、100株未満で取引できる株のことを「ミニ株(単元未満株)」と呼びます。
ミニ株を先ほどの例に当てはめると、株価2000円を10株購入したい場合、2万円の資金があれば買うことができるので、ミニ株は少額投資から初めて見たい投資初心者にうってつけの資産運用と言えます。
また、投資金額を抑えることで、享受できる利益が減る反面、同時に損失を抑えることにも繋がるので、株式投資に慣れるために数をこなした方にも適しています。
一般的な株式投資と比較した際のデメリットとしては、「100株未満は株主優待を受けられない」「リアルタイム取引ができない」などが挙げられます。
ただし、現在では1株でも保有していれば株主優待を受けられる銘柄があったり、中長期の取引前提であればリアルタイム取引でなくとも影響は少ないので、ミニ株を利用しない理由にするほどのデメリットにはなりません。
5ポイント投資でお試し投資
日本国内において、Tポイントやdポイント、楽天スーパーポイントなど、さまざまなサービスにポイントがつきものになっており、今や非常に身近で当たり前の存在になっています。
近年では、そういったポイントを金融商品の購入に充てることができる「ポイント投資」が注目を集めています。
あくまでポイントでの投資になるので、金銭的なリスクは実質ないようなものなので、気軽に投資を始められるため、投資デビューにおすすめです。
運用に用いるポイントの種類にもよりますが、多くは数ポイントから投資が可能で、非常にハードルが低く、運用益はポイントではなく現金で受け取れるなど多くのメリットがあります。
少額ではなく、100万円以上のある程度まとまった資金を資産運用に回せる方向けに、「リスクを抑えつつ長期運用前提」の資産運用方法を紹介します。
1インデックス投資×高配当投資の掛け合わせ
ある程度のリスクを取り、運用益を重視するなら「インデックス投資」と「米国高配当ETF」を掛け合わせて運用する方法もあります。
インデックス投資とは、市場の値動きを示す指数(インデックス)の値動きと連動を目指す投資手法です。
代表的な指数には以下のものがあります。
● 東証株価指数(TOPIX)
● NYダウ(ダウ平均株価)
● S&P500指数
● ナスダック総合指数
インデックス投資のメリットとして、指数連動の動きを目指すことから、非常に分かりやすく、インデックスファンドを購入するだけで分散投資が行える点です。
今回紹介している掛け合わせの投資手法は、インデックス投資による利益に加えて、「米国高配当ETF」による配当金の二重取りにより、長期でも安定した利益を狙えます。
ただし、一度に大きな金額を購入してしまうと損益の変動が大きいため、長期投資の原則としてコツコツと一定額の購入がおすすめです。
2REIT(不動産投資信託)でインフレ対策
REIT(不動産投資信託)とは、株取引ではなく「不動産版の投資信託」のことを指し、間接的に複数の不動産(ビル、マンション、リゾート施設など)に投資し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。
REITのメリットは「少額から投資が可能」な点と「インフレ対策になる」点です。
インフレ(物価の上昇)が起きることで、基本的に同じく「モノ」である不動産の価値が上昇します。
また、REITから得る収入の一部である「家賃収入」も物価の上昇に合わせて上がる傾向にあるので、REITはインフレに対する備えとして非常に優れていると言えます。
ただし、不動産の特性上、急激に状況が変化する可能性が常にあるため、REITはあくまで他の投資と併せてリスク分散のために利用するのがおすすめです。
3債券(投資信託・ETF)で安定運用
運用利回りよりリスクを抑えた運用を希望する方は「債券投資」がおすすめです。
債券は非常に多種多様ですが、とにかく安定した運用をするなら「個人向け国債」を証券会社経由で購入しましょう。
理由としては、個人向け国債は1万円の低予算から購入でき、定められた満期を迎えることで元金+貸付金利が戻ってきます。
また、満期を迎える前であっても売却することもできる柔軟性もあり、国債は投資を行うにあたってとにかくリスクを抑えたい方におすすめの投資方法です。
ただし、債券を直接購入するより「投資信託」や「ETF」などを利用し、複数の債券を同時に購入・運用した方が、効率が良くリスク分散も行えます。
4FXを活用した外貨運用
FXは株式投資と同じくらいメジャーな資産運用方法です。
FXといえばハイリスクでギャンブルみたいなイメージを持つ方も少なくないと思いますが、「適切な運用」を行えば有効な資産運用になり得ます。
FXの利点として、日本円以外の幅広い通貨を取り扱っている点であり、急激な円安に対する備えとして有効な手段です。
また、FXはレバレッジを利かせることで比較的少額から取引することも可能ですが、同時にリスクも伴うため、FXによる外貨運用を行うのであれば「原則レバレッジ1倍」で取引することが望ましいです。
レバレッジ1倍で取引すれば、普通に外貨を購入している感覚とほぼ同じな上、通貨によってはキャピタルゲイン(売買差益)以外に、日々のスワップによる利益も狙えます。
FXのメリットをまとめると「24時間取引可能」「レバレッジをかけられる」「多くの通貨に対応」していることが挙げられます。
FXは土日やメンテナンス時間を除く時間、ほぼ24時間取引が可能なので、日中時間がない人でも仕事のあとに取引ができ、場合によってはレバレッジをかけて取引も可能なので、開始するハードル自体は低めです。
デメリットとしては、「ある程度の経験と知識が必要」な点で、短期のデイトレードで大きな成果を挙げ続けるのは初心者には難しいでしょう。
ただし、各種積立投資と同じで、長期的な取引を前提とするなら大きなデメリットではなく、指値や逆指値を使うことで、利益や損失をコントロールが可能です。
1.1つの投資先ではなく分散投資を心がける
投資初心者がやってしまう失敗に多いことの1つにリスクの分散ができていないことが挙げられます。
投資先を1つに絞ってしまうと、万が一損失が発生した場合、リカバリーを行うのが困難になる可能性があります。
一方で、普段から複数の投資先に分散投資を行っておけば、例え投資先の1つで損益が発生しても、トータルではプラスを維持することが可能になるためです。
したがって、大切な資金の運用を始める場合は、投資先は1つに絞るのではなく、分散投資を心がけ、リスク管理を徹底しましょう。
2まずは少額から始める
投資を始める方の理由のほとんどは利益を得ることが目的でしょう。
そのため、投資に慣れていない初心者であっても、利益を重視するあまり、大きな金額を運用に回してしまった結果、許容できないくらいの損失を抱えてしまうケースが少なくありません。
大きな金額を運用していると、いざ損失を抱え始めたときに冷静な判断が行えず、さらに損失を広げ、最悪の場合、大切な資産の多くを失う結果となります。
したがって、投資に慣れないうちは、投資対象の最小投資額から運用を開始し、慣れてきたら徐々に金額を上げていくのが望ましいです。
3短期の値動きに一喜一憂しない
投資を行う上でメンタルのコントロールが非常に重要かつ難しい要素です。
資産運用を始めたばかりの投資初心者の場合、投資先に利益が発生すると非常に嬉しくなり、逆に下がるとひどく嫌な気持ちになります。
投資先の価格が大きく動き始めると、どうしても値動きが気になりがちになり、焦って冷静な判断ができず、本来得られる利益より少ない額で決済したり、余計な損切を繰り返してしまったりと良いことはありません。
長期運用を前提としているなら、短期の値動きに振り回されることなく、あくまで参考程度に値動きを見守りましょう。
これから投資を始めようと考えている初心者の方に伝えたいのは、「とにかくまずは無理をしないところから」資産運用を行いましょう。
具体的には、「掛金は最小単位」「分散投資を行う」あたりを徹底し、大切な資産を無駄に失うことのないように慎重に運用することを心がけてください。